ドラえもんの非合法的エピソード

ーー”のび太消毒社”

非合法的な商売

 

ドラえもんのエピソードの1つに

驚音波発振機(きょうおんぱはっしんき)』という道具が出てきます。
 
これは人が発する凄まじいノイズや雑音をマイクで拾い、その超音波で侵入者を追い払うといった道具です。
 
エピソード内ではドラえもんが家の中に現れたネズミを退治するために使用し、ジャイアンの轟音リサイタルを利用して超音波でネズミを追い払うことに成功しました。
 
ここまでは一見普通の道具の説明みたいに聞こえるのですが、これを悪徳商法に発展させてしまうのがのび太の悪知恵です。
テストでは常に0点を取ってしまうほどお馬鹿さんなのにこういう小狡いところには妙に頭が働いてしまう、困ったちゃんですね。
 
そしてのび太が立ち上げた会社、その名も『のび太消毒社』です!
なんか名前からして安直な響きですが、のび太のネーミングセンスは壊滅的なことで有名なので、別に特段の驚きはないですね。
しかし自分の名前を会社名に入れちゃうところが…(笑)
 
この会社ではのび太が害虫駆除を依頼してくる人に対し、ジャイアンのリサイタルでそれを退治するという極めてシンプルな段取りになっています。
ドラえもんは「いつかバレるぞ」と警鐘を鳴らしていましたが、のび太はへっちゃら顔でした。
 
まずは静香ちゃんの家に行き、害虫駆除をしました。
静香ちゃんは喜び、ジャイアンは喜び、僕は儲かる。こんないいことやめられないよ〜」という台詞は、アコギな商法を糧にしている人が発していいものではありません。
みなさま、勘違いなきよう。
 
どれくらい収益を上げたのかは不明ですが、1回駆除でざっと(のび太のことだから)100円程度でしょうか。
しかし、100円という少ない額に侮ることなかれ、この商売で100円の収益が重なれば次第に万単位、長い目で見れば億単位にまで膨れ上がってしまう可能性があります。
 
そもそもこの時点でお気づきになった方も多いでしょうが、ドラえもんの道具は全て未来から送られてきたものです。
当然、のび太が生きる世界には、そんな未来道具や科学テクノロジーなどは存在していません。
 
つまり、現代社会にそぐわない高機能の道具で人々を釣り、多大な収益を上げるのはれっきとした『独占禁止法違反』です。
例えば、現実社会でも害虫駆除業者は存在し、皆、いろいろな道具を使って利益を出しています。
 
それがドラえもんが出した『驚音波発振機』の存在により、ほとんどのお客様が奪われてしまったことになる。
これは時間軸の前後を無視した歴史歪曲、ドラえもんの用語で言うなら『航時法違反(こうじほういはん)』であり、当然相応の裁きを受けるべきでしょう。
 
まあ、フィクションの世界から多少は目を瞑るべきでしょうが(笑)
 
ちなみにこのエピソードの最後ではバチが当たったのか、ジャイアンの前で驚音波発振機を出したまま固まってしまうのび太の姿が描かれており、「因果応報」のオチが用意されています。
 
製作陣もそういうのび太の悪徳な商法をわざわざ風刺的に表現したかったのかもしれませんね。