ポピュリズム

ーー大衆迎合主義

ポピュリズムとは

 

ポピュリズムは「大衆迎合主義」とも言われ、排外的な政策やスローガンを掲げて自国の強化を優先する主義。つまり、自国第一主義と呼ばれているアメリカでは、このポピュリズム的思想が国土を支配しています。そのため、2016年のヒラリー・クリントン氏が大統領選でトランプに勝つという予想を覆され、トランプが大統領に返り咲いた出来事は、いかに多くの米国人がポピュリズムを支持しているかということを裏付けているとも言えますね。ポピュリズムの主な政策としては、先ほど述べた「排外的な政策や経済封鎖」が1つに挙げられます。例えば、移民の受け入れ拒否や自由貿易の廃止など・・。トランプ前大統領はこれらの政策を訴え、ポピュリズムを全面的に肯定する岩盤支持層に長らく支えられ、盤石の地位を築いてきました。また、トランプが支持層を鼓舞するために発したスピーチもわかりやすい内容のものとなっており、英語のわからない日本人でさえも「なんとなくこう言っている」と理解できるほどその説得には重みがあったそうです。

 

ポピュリズムはしばしば「衆愚(しゅうぐ)政治」「扇動政治」とも言われます。少し皮肉を込めたポピュリズムへの批判で、排外的な政策や国民をかどわかす情報操作などを痛烈に批判する反対層たちがこう呼んでいるそうです。ちなみにポピュリズムを支持する国民の多くが「ノンポリ」と呼ばれる人たちです。ノンポリとは、ぶっちゃけて言うと「政治に無関心な人」という意味。つまり、その政党が掲げているスローガンや公約をろくに見ないで「みんなもここに投票してるから私もここにしよ」と集団に流されている人たちが、ポピュリズム支持層のウエイトを占めているのです。いわば「無知は罪なり」の人たちの大半が、ポピュリズム思想に毒されている。それらを上手いスピーチで支持を獲得するのがポピュリズム政党の長。日本で言えば、まさしく自民党が当てはまるかもしれません。

 

まず他国に歩調を合わせ、協調路線をとっていく・・という考え方は、ポピュリズムの思想には皆無。しかし、それはそれでOKだとは思います。自給自足や地産地消といった言葉もあるように、自分たちで消費や生産などの活動を行えるのは、それだけ産業が豊かな証拠です。日本は長らく「ものづくり」産業で発展してきた国ですから、何らかの技術を自分で生み出せるポテンシャルは一定以上の評価を受けています。しかし、問題なのはポピュリズムの台頭により、資本主義社会が一層乱れる懸念がある、ということです。資本主義とは、その人が働いた労働の分に応じて対価や報酬を与えるという雇用形態のこと、およびその社会です。所得の分配が公平に行われ、収入の多い人からより多く税金を(国に)納め、経済のバランスを保つことで、「貧困や格差のない社会を作ろう」という思想が第一義にあります。しかしポピュリズムは少し異なります。無知な大衆を扇動し、政治家や官僚などの地位の高い自分たちに儲けがいくよう政策を歪める可能性があるからです。いわば、私欲の塊とも言えるものでしょう。

 

国民はそれでも政治家たちの甘い蜜の企みに気付けず、自分たちがコツコツと稼いだお金の一部を税金として国庫に納め、満足する。でも実体経済はどんどん悪化の一途を辿るばかり。現にこれまでに自民党が打ち出した経済施策によって、日本の経済はとことん冷え込んでいます。自民党支持者は移民受け入れに反対の人が多いですが、ではこれから少子高齢化が進む日本において、これ以上の労働人材を確保できるのでしょうか?少子高齢化が進めば、当然、労働供給量も減ってしまう。したがって、経済も悪くなる。でもポピュリズムの支持層は他国からやってくる移民や異文化に不寛容なため、日本だけで政治や経済の中核を担っていくという考え方しかできない。非常に由々しき事態です。

 

また、日本では表向き民主主義(多数決原理・少数派の意見尊重)という体裁を取っていますが、少数派の意見はほとんどむげにされているといっても過言ではないほど、多数決が持つ意義が強くなりすぎてしまっています。さらに言えば、自民党一強時代が今日まで続いているという状況も、ノンポリ層の多さに拍車をかけていると言えるでしょう。まともな有権者がいれば、ポピュリズム的思想を掲げている自民党に票を投じる人は少ないはずです。自民党はあえて無知な国民を扇動し、都合の良い甘言で自分たちの支持層を獲得してきた。そういう歴史があるからこそ、「少数派の意見尊重」という原理は、もはや形骸化しつつある。どれだけまともな有権者が票を入れようと、政治に詳しくないノンポリ層の母数が過半数を占めているので、それらの政治家たちが有利に立ってしまう。国民の無知が招いた衆愚政治、それこそが自民党のやり方であり、ポピュリズムの狙いとも言えます。