リーチ単価とは

ーーリーチ単価と実収益の

大きな乖離

 

広告業界では「リーチ単価」という言葉をよく聞くことがありますが、どんなジャンルのCMや広告を打つ際でも必ずその出稿に伴う「費用対効果」を前もって試算しておく必要があります。そうでないとCM出稿に際してかかったコスト分が収益で回収できず、大きな損失になってしまうからです。そこで多額の広告出稿費を投じる際に目安となる指標、それが「リーチ単価」です。リーチとは、顧客吸引力。つまりいかに顧客に商品の魅力を発信してコンバージョン(成約率)に結びつけられるかが勝負となります。単価は、その顧客1人にかかったコストのこと。これらを合算して、CMの土台は出来上がるのです。リーチ単価が低い=経済損失が少ない、という肯定的な解釈ができますが、それだけで満足してはいけません。CMを全国(もしくは地方)に流すからには、莫大な費用を投じてそれに見合うリターンを得る必要性があるからです。この場合で言えば、商品売上UPの動機づけとなる顧客の購買意欲を手を変え品を変えたCMの訴求力で喚起すること。購買意欲の高い顧客は、その後も継続して商品を購入してもらうために、定期購入便や特典、ギフト券などのサービス要素を付与し、なんとしてでも顧客を繋ぎ止める必要があります。いわゆる「リピート客」(繰り返し購入してくれる太客)を増やすことがCM出稿社の最大の目標と言えます。

 

そこで重要になってくるのがCMの訴求力です。訴求とはその人の視覚に訴える画面構成から演出(MV)まで、たくみに作り込む必要があります。例えば、広告やCMが流れるタイミングを想像してみましょう。基本的にテレビの番組やドラマ映画の中間部分にて、そのCMが差し込まれています。CMが入るタイミングというのは程度の差にもよりますが、一般的に「視聴者の楽しみを削ぐ」ような、いやらしいタイミングです。バラエティで言えば、「衝撃映像!CMの後すぐ!」というテロップが入ると思いますが、これはスリリングな恐怖映像を早くみたい視聴者にとっては、非常にもどかしい存在と言えるでしょう。つまり、CMを番組の間に挟むという行為は、むしろ反感を買いやすい(=顧客離れを引き起こしやすい)リスキーな行為なんです。もしその覚悟を承知の上でCMを出すなら、それ以上に興味関心をそそるCMを作るか、その番組構成となぞるようなCMを流して話の前後をつなげるか、どっちか2択になるでしょう。視聴者にとって1番みたいのは本編のバラエティやドラマ映画などの作品です。ぶっちゃけ、CM自体には興味ないんです。否が応でも見させられる・・というCMの持つ強制力にうんざりしている人が大半でしょう。YouTubeの動画を開くと必ずといっていいほど5〜15秒の広告が流れてくる。その時の感覚と同じなんですね。

 

視聴者の興味関心を惹きつけ、不快度を高めない。そんな死角なしのCMをどうやって作るのか。まず1番は「広告塔」の存在です。広告塔とは、その広告の画面に映り、商品の魅力を手振り身振りを交えて発信・アピールするという、企業にとっては広告の要(かなめ)とも呼べる存在です。その広告塔に起用される人は、多くが好感度の高い芸能人やインフルエンサーなどがそのウエイトを占めています。芸能人には多くの場合、「ファン」という心強い味方がいます。ファンは商品の魅力よりそのタレント見たさに広告やCMに興味関心を持つケースが多く、これはタレントが持つ訴求力を存分に活かした手法とも言えますね。そのタレントが使っている商品・・というだけでファンは共感性を強く示し、その商品の購入に踏み切るケースが多いです。”ファンはタレントの鑑”ともよく言いますよね。ファンとタレントは密接不可分の関係性にあります。この関係性を活かして、商品のコンバージョンに繋げていくのが、最も売上UPに効果的な手法と言えるでしょう。

 

次にCMを打つ際のターゲット層についてです。例えば主に女性用の化粧品のCMを紹介する際にメンズの視聴者層を含めてしまったら、無意味なリーチ単価が膨らんでしまうだけでなんのリターンも得られません。いわば、回収できないインプレッション数。銀行で言えば、売却できなくなった株式や債券と同じような扱いです。ただ持っている(=保有している)だけで、それに見合う利益は一切出ない。リーチというのは、別の表現で置き換えるなら「インプレッション」とも呼ぶことができます。インプレッションはその視聴者の目に留まった閲覧数のことで、1秒間広告の画面が静止しただけでも1カウントとして記録され、それが徐々に集積していくという仕組みになっています。つまり、たまたま目に留まった広告をみただけでもすぐにカウントされてしまうという性質上、その視聴者の購入本気度や興味関心の度合いなどを推し量ることはできません。ただチラッと閲覧しただけでWebページにも行かずにそのまま画面をスクロールしてしまった通りすがりの人も大量に含まれているわけです。なので、広告を掲載する際には必ずメインとなるターゲット層を絞り込み、ピンポイントの視聴者に自分たちの広告が流れるよう工夫する必要があります。そうすれば広告費も最小限に抑えられますし、興味関心をそそる視聴者層の目に留まる機会がグンと増え、コンバージョン率の向上にも繋がります。あくまでインプレッション数の多さ=利益率・・とは限らないことに注意してください。今日はここまでです。