1/fゆらぎ

ーー1/fゆらぎとは?

 
1/fゆらぎとは、私たちの視覚に「揺らぎ」を訴える物体や現象のうち、心地よさを覚えるほどの揺らぎを与えてくれることを意味します。言語化するのは難しいですが、例えば、ゆらゆらと揺れる炎を想像したとき、長時間それを見ているとなんだか心が安らぎませんか?キャンプファイヤーのとき、揺れめく炎を見てぼーっと物思いにふけるのは、結構な人間が体験していることです。炎に限らず、光もそうです。心地よいと感じる淡い光と、眩しすぎて直視に耐えない光とで分かれると思いますが、これは光が持つ「波長」が関係しています。光で例えるなら、眩しすぎず暗すぎずの中間に当たるくらいの光度、それが1番ベストな揺らぎとされています。脳波の流れを緩やかにし、緊張状態を解いてくれます。
 
また、YouTubeで作業用音楽として重宝されるヒーリングBGMは、人の集中力やパフォーマンス力などを上げさせ、人の耳に心地よい環境音を流し続けてくれます。しかし、このようなBGMにもちゃんと不規則性を帯びた「ゆらぎ」は存在しており、自然音で言ったら、雨がポタポタと降り頻る音が良い例でしょう。一見するとザーッと一定間隔で音が聞こえますが、屋根から伝った雨が地面にポタッと弾けたり、雨によってもタイミングで強弱が変わるため、音の聞こえ方もそれに伴って変わるという性質を持っているのです。この「不規則性」こそが、1/fゆらぎの持つ最大の魅力なのです。規則正しいリズムや音感は、最初のうちは楽しいですがだんだんと飽きてきます。私はドラクエのBGMが好きで作業用によく使わせてもらっているのですが、作曲者である故すぎやまこういちさんは、自分の音楽を聴く人に「聴き減り(何度でもリピートしたくなる曲)のしない作曲を心がけた」と発言しており、その習慣性(リピート率)をコンセプトとしてBGMの作曲を手がけていたそう。1/fゆらぎがあるかどうかは専門ではないので分かりかねますが、少なくとも規則正しいリズムのBGMは確かにないように思えますね。
 
ただこの1/fゆらぎは人の脳に心地よい電波を送る不規則なリズムで構成されているものの、やはり規則性に基づかなきゃNGなものも存在します。その代表的な例が、時計の針です。時計は1秒ごとに針がカクッと動き、規則正しくその針を刻んでいます。これが0.1秒でも狂えば、時報や時差といった概念もなくなり大変なことになるでしょう。また、階段は1段ごとに高低差はありますが、どの段差も一定の高度が保たれています。もし最後の段だけ足を大きく踏み込むほど地面と距離があれば人的事故によるケースは多発するでしょう。このように規則正しく・・が前提となるものも存在し、ひとえに不規則性が良しとされるわけではありません。今日はここまで。(本当は1/fゆらぎの特徴を持つBGM動画を載せたかったのですが、法的にアウトだと思うので割愛させてもらいました。)